自分で髪の毛を抜いてしまう心の病気、抜毛症の原因と治療法

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ストレスがたまると、癖で髪の毛を抜いてしまう、やめたいけど、やめられない、そんな悩みを持つ方がいます。さらに自分ではなく、家族に髪の毛を抜く癖がやめさせたいけど、やめさせることができないで悩まれているという方もいらっしゃるかもしれません。

このような症状は、「抜毛症」によるものかもしれません。学校でのいじめ問題、職場の人間関係といったさまざまなストレス社会で生きて行く中で、最近話題となっているのが抜毛症という病気です。

ここでは、抜毛症についてわかりやすく、その原因と治療法などについて解説します。

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抜毛症とはどんな病気?

抜毛症(Trichotillomania/トリコチロマニア)とは、髪の毛、まつ毛、眉毛、ひげ、脇の毛、陰毛、手、足などの体毛を自分で抜いてしまう行為障害と呼ばれる心の病気です。

ストレス状態になると、無意識に体毛を抜いてしまうことが多いようです。意識していても、体毛を抜くことがどうしてもできない、という重症のケースもあります。

多くの場合は意識することで、体毛を抜く行為を抑制することができますが、重症の場合は、ストレスを発散するために、体毛を抜く行為がやめられず、さらに何も他に手がつけられないほど、体毛を抜きたいという衝動を抑えられない場合もあります。

抜毛症は、強迫性障害(OCD)の一つに分類されていました。

しかし、衝動を抑えられないことから強迫性障害と似ていますが、最近では抜毛癖は、爪かみ、唇を噛む、口の中を噛むといった症状の『BFRBs(Body-focused repetitive behavior)身体に対する反復的行動』の一つであると考えられています。

BFRBsとは、身体に対する繰り返し行動のことです。体毛を抜く行為を繰り返す特徴をもつ抜毛症は、このBFRBsであるとされています。

抜毛症の好発年齢は?

好発年齢は、思春期であり、小学生の高学年から高校生に多くみられます。

多くの症例では、年齢を重ねることで自然に治癒していきます。

男女別では、かつては女性に多い病気でしたが、今では、男性も増加傾向にあります。

ストレス社会で働き、年々、うつ病などの精神疾患が増加するにつれて、この『抜毛症』も増加傾向にあり、近年では、男女問わず、さらに幼い年齢が圧倒的に多かったにも関わらず、成人した働き盛りの世代にも増えてきています。

また、年齢とともに自然治癒していたケースが多かったのですが、何十年も悩まされるケースも増えつつあります。

抜毛症の原因とは?

抜毛症の原因は残念ながら今のところ解明されていません。科学的に根拠のある治療方法が確立されていないため、単に「髪の毛を抜く癖」だと片付けられてしまうことも多いのが現状です。

抜毛症の方は、髪の毛などの体毛を抜くことで、自分の気持ちをコントロールしており、神経系の異常であるのではないかと考えられています。

よく、自閉症などに多く見れる自傷行為と勘違いされますが、抜毛癖は違います。

髪の毛などの体毛を抜くことによって、不安などのストレスといった脳神経系が対処できない複雑な感情を処理しています。自分を傷つける自傷行為とは異なります。

抜毛症のおこるきっかけは、はじめは痒みがあって、髪の毛を抜いてしまったり、髪の毛がひっかかって抜いてしまったりと、本当にささいなことです。

ですから、抜毛症は、ある日突然、誰にでもおこる可能性のある病気です。

抜毛症のやっかいなところは、単にストレスによってイライラしているときにしかおこらないわけではないということにあります。

暇な、退屈なときに毛を抜いてしまうということもあるのです。

ただし、多くの場合は、受験によるストレス、職場での人間関係、といった心への負担が多くなって、自分ではどうすることもできなくなってしまって、発症してしまうケースが多いようです。

抜毛症の治療法

抜毛症には、特効薬となるような薬はなく、主に行動を変化させる治療を行います。治療方法として、認知行動療法、習慣逆転法、そしてマインドフルネスなどがあります。

それぞれの治療法をみていきましょう。

①認知行動療法

もっとも臨床成績のいい治療方法が、認知行動療法です。

認知行動療法は、凝り固まった考え方を変化させ、感情をコントロールさせる治療方法です。

うつ病の治療法でもよく使用されます。

体毛を抜いてしまう行動を認知し、パターンを変えていき、体毛を抜く行為を自然とやめていくようにコントロールしていきます。

②習慣逆転法

習慣逆転法とは、癖をコントロールする治療方法です。

意識下練習によって体毛を抜くことを記録し、髪の毛を抜くタイミングなどを正確に記録し、パターンを把握します。

そして、抜毛癖のパターンを把握したら、拮抗反応の学習といって、毛を抜いてしまう行為をしそうになったら手をギュッと握ったり、抜きたい衝動がおさまるまで別の行動をし、古い習慣を置き換えます。

そして、うまく対処できたとき、抜毛癖のデメリットを紙などに書き出し、さらに置き換えた習慣によって得られたメリット(例えば、髪の毛を抜くことにより見た目が悪くなるのを予防できた等)を書き出します。

そうすることで、悪い習慣を抑え、いい習慣に置き換えていくことができます。

③マインドフルネス

マインドフルネスとは、瞑想のことであり、呼吸を整えることでストレスや不安に対処する治療法のことです。

姿勢を整え、呼吸を意識します。

ストレス状態が強いと、肩が内側に向き、肋骨を圧迫して呼吸が浅くなります。

逆に、安定した状態では肋骨が開き、深い呼吸をしています。

マインドフルネスによって、まず、リラックス状態にある姿勢と呼吸に変化させることで、ストレスをコントロールします。

背筋を伸ばし、吐く息を少し長めに、そして、吸うときもしっかり鼻から吸うことを意識しましょう。

姿勢と呼吸を意識することで自分の感情を整理し、コントロールできるようになります。

これらが代表的な今すぐできる治し方ですが、精神疾患を伴っている場合もあるので、なかなか改善しない場合には専門医による薬物療法も受けましょう。

抜毛症は絶対に放置してはいけない!

どうせすぐによくなるだろう、自然にやめるだろうといって抜毛症は放置してはいけません。

抜毛症は、感情の負担がコントロールできなくなってしまった心の病です。

最初は、髪の毛などの体毛を抜く癖だけの症状が放置してしまうと、うつ病も発症してしまいます。うつ病が悪化してしまうと、最悪、感情がコントロールできないので、自殺など、命を危険にさらしてしまうこともあります。

また、抜毛症が悪化してしまうと、食毛症という別の病気も発症してしまいます。これは読んで字のごとく、抜いた髪の毛などの体毛を食べてしまう病気のことです。自分の髪の毛を抜いて、さらに食べてしまいます。髪の毛などの体毛は食べても消化できませんから、吐いたり、胃腸障害を引き起こします。

さらに、髪の毛が腸までいくと、腸がつまってしまい、腸閉塞を起こしてしまうこともあります。腸閉塞になると手術が必要となったり、最悪の場合、死に至るケースもあります。

このように抜毛症を放置すると、別の病気も発症してしまうことがあるので、自然に治ると思って放置しないようにしましょう。

抜毛症で抜いたあと、髪の毛が生えてこないときの対処法

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髪の毛を抜く癖を治療しても、髪の毛がすぐには生え揃うわけではありません。何度も繰り返し髪の毛を引き抜くという行為によって、毛根がダメージを受け、新しい髪の毛が生えにくくなったり、

髪の毛などの体毛を抜く癖が良くなったとしても、髪の毛がなかなか生えてこなくて、不安になってしまうケースがあります。

このような髪の毛が生えてこない場合の対処法もご紹介します。

帽子をかぶる

外出するときは、帽子をかぶることがおすすめです。

髪の毛が抜けた状態をそのままにしておくと、外見が気になるのにどうしても髪の毛を引き抜くことをやめられないという矛盾から、抜毛行動がより悪化したり、過度のストレスがたまってしまう恐れもあります。

帽子をかぶるというのは最も簡単な方法ですし、今ではとてもおしゃれな帽子が売られていますので、これを機会におしゃれな帽子にチャレンジして、気分転換するのもいいでしょう。外出することで、ストレス解消にもつながり、抜毛症改善にも期待できます。

ウィッグをつける

今では、ウィッグは自然な髪の毛と変わらないくらい精度の高いものが増えています。つけていても、ウィッグであるかどうかは見分けがつきにくいので、学校や職場等でばれてしまうという心配を解消することができます。

髪型や髪色などさまざまな種類から選ぶことができますので、思い切ってウィッグを試してみるのもいいでしょう。

植毛する

最近では、残っている髪を利用して、植毛するという方法も注目を集めています。とても自然で、しかもシャンプーなどもしっかりできるという植毛技術も開発されています。また、手術の技術は年々進歩していますので、ダウンタイムの少ない方法もあります。抜いてしまった髪の毛がなかなか生えてこない場合には、植毛も1つの有効な手段となります。

育毛剤を使う

髪の毛を抜くという行為は、頭皮の刺激が強く、頭皮環境を悪化させてしまっています。そのため、何度も抜き続けることでヘアサイクルが乱れ、なかなか次の新しい髪の毛が生えてこなくなります。また、抜毛症はストレスを抱えているため、ホルモンバランスの乱れも起きていることがあります。

このようなダメージを受けた頭皮には、頭皮環境の改善や発毛・育毛効果のある育毛剤の使用が効果的です。

なお、植毛に関しては、抜毛癖が改善傾向にあるときにおすすめの方法ですが、それ以外の対処方法は、抜毛症の治療と同時に行うことができます。

抜毛症の治療とともに毛髪の改善を行っていくことで、少しでも心の負担を軽くしていくことが大切です。

抜毛症を治すために

抜毛症治療に一番大切なこと、それは「焦らない」ことです。

抜毛症は、神経系が対処できないほどの感情を抑えるためにおきてしまいます。それほど、体も心も強い負担を抱えています。そのため、治療法を実践しても短期間でよくなるものではありません。焦らずに自分のペースで治療していくことが大切です。

また、うつ病などを併発していることもあるので、気分の抑鬱が激しいときは、専門医の治療を受けましょう。

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